お問い合わせ
弁護士費用の概要
弁護士費用の概要をお伝えいたします。
弁護士費用とは
弁護士費用には,おおまかにいって,事件を受ける際に申し受ける「着手金」,「実費」と,事件を解決した際に成功の度合いに応じて申し受ける「成功報酬金」があります。
- 着手金は,事件を受任するに際して受領するものです。弁護士の落ち度による解任や,弁護士の都合による辞任の場合を除き,お返しすることはないものです。
- 実費は,事件遂行に必要な交通費・コピー代・電話代・紙代・切手代・印紙代などです。こちらも事件を受任する際に申し受けます。
- 成功報酬金は,事件を解決した際,成功の度合に応じて,申し受けるものです。
なお,着手金は,おおまかにいって,完全勝訴した場合の報酬金の約半分程度です。
着手金の算定根拠
【基準とするもの】
現在,弁護士の報酬を定める法律・規程等はありません。
もっとも,大半の弁護士は,現在は廃止されている各弁護士会の報酬会規(以下「報酬会規」といいます。)を用いるのが通常です。
【経済的利益】
報酬会規では,まず,「経済的利益」を算出します。依頼者が得ることを希望する額(ただし,客観的に可能である額。)を「経済的利益」といいます。例えば,500万円の損害賠償請求をする場合には,「経済的利益」は500万円となります。
【算出方法】
次に,着手金の額は,通常事件の場合,「経済的利益」に次の数値を乗じて,算出します。(なお,消費税別です。)
経済的利益の額 | 着手金の割合 |
---|---|
300万円以下の部分 | 8% |
300万円を超え3,000万円以下の部分 | 5% |
3,000万円を超え3億円以下の部分 | 3% |
3億円を超える部分 | 2% |
【交渉,調停,仮処分】
交渉,調停,仮処分といった場合には,通常事件より早く解決する見込みがあることから,3分の2まで減額することができます。
成功報酬金の算出根拠
成功報酬金も同様に,「経済的利益」をもとに算出します。
経済的利益の額 | 成功報酬金の割合 |
---|---|
300万円以下の部分 | 16% |
300万円を超え3,000万円以下の部分 | 10% |
3,000万円を超え3億円以下の部分 | 6% |
3億円を超える部分 | 4% |
具体例
ちょっとわかりにくいので,具体例で考えてみます。
甲さんは,悪徳さんに,1か月後には返済するという約束で500万円のお金を貸しました。しかし,2か月経っても悪徳さんは「そもそも借りていない。」などと言ってお金を返してくれません。困り果てた甲さんは,弁護士に頼むことにしました。
この場合の「経済的利益」は500万円となります。
そのため,着手金は
- 300万円以下の部分 :300万円の8% = 24万円
- 300万円を超える部分:200万円の5% = 10万円
で,34万円となります。
実費は東京地裁の場合,5万円程度です。
無事,500万円の勝訴判決を受け,取り返すことができました。
この場合,成功報酬は
- 300万円以下の部分 :300万円の16% = 48万円
- 300万円を超える部分:200万円の10% = 20万円
で,着手金とは別に68万円となります。
わかりにくい計算ですが,「経済的利益」が大きくなるにつれてディスカウントする仕組みになっています。逆に言えば,「経済的利益」が小さい場合には割損です。
各種訴訟の具体例
各種訴訟に特有の事情については,わかりにくいと思うので,下記のページに別にまとめましたのでご覧下さい。
- 離婚事件の弁護士費用
- 相続事件の弁護士費用
- 労働事件の弁護士費用
- 医療訴訟の弁護士費用
- 刑事事件の弁護士費用
- 債務整理・破産の弁護士費用
- 債権回収の弁護士費用
- 不動産取引の弁護士費用
問題解決に対し弁護士費用が割高な場合とは
弁護士費用は高いのか
よく聞かれる質問に「弁護士費用は高いのではないか」というものがあります。
民間の調査機関によると,「訴訟を終わった後,弁護士費用が適正であったか」という問いに対し「適正であった」というのが,%にのぼりました(ちなみに「」という調査項目は「」が%でした。)。
結局,「実際の働きをみれば納得するが,訴訟をするまではどのような働きをしてくれるかわからないので,高いと思う。」という面があると思います。(それは弁護士のアピール不足なのでしょう。)
また,訴額が100万円を超える事件,特にが300万円を超えたあたりから,弁護士に頼む価値を感じる方が多いようです。
弁護士に頼まない方が安上がりな場合
では,弁護士に頼まない方が安上がりな場合はあるのでしょうか。
まず第一に「紛争がない場合」があります。
当たり前に思われるかもしれませんが,当事者が争いたくないのに,関係者が問題を大きくしてしまうことが意外にあります(典型例は,当人たちが離婚したくないのに,周りの人間が弁護士に問題を持ちこんだ場合)。このような場合には,そもそも弁護士は介入すべきではありません。
次に,「経済的には紛争がない場合」があります。
要するに,両者の間の金額の隔たりが弁護士報酬を下回る場合には,当事者間の話し合いにより決着する方が妥当でしょう。合意がある程度できていれば,弁護士の報酬に費やすよりも,両当事者の利益になった方が健全です。
でも,実はトラブルにならないのが一番です。防げるトラブルはたくさんあり,「一言ご相談頂いていれば」と残念に思うことは多々あります。
訴訟になってから弁護士を雇うよりも,早めにご相談いただくことが,一番,安上がりだと思います。